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日本マーケティング学会 ワーキングペーパーVol.11 No.15 |
製品アーキテクチャとブランド戦略 |
日本企業の事例からの考察 |
柏原 貴之 デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 |
発行:2025年08月11日 更新:2025年08月11日 |
分類 : コラム |
要約 : 本稿は、日本の製造業における製品アーキテクチャ(インテグラル型/モジュラー型)とブランド戦略の関係を、ソニーとトヨタの事例を通じて分析するものである。戦後から高度成長期にかけ、日本企業は部品間を密結合させ性能を最適化するインテグラル型で競争力を築いたが、1990年代以降はグローバル分業化・IT部品標準化の進展によりモジュラー型の重要性が増大した。インテグラル型は差別化戦略と親和性が高く、ブランドの独自性や高品質イメージを支える一方、設計変更の柔軟性に欠ける。モジュラー型はコストリーダーシップや市場適応力に優れ、製品拡張やプラットフォーム戦略に適する。 事例分析では、ソニーはカメラやゲームでインテグラル型を活用し高い情緒的価値を構築する一方、Xperiaではモジュラー型市場で苦戦。トヨタは大衆車でモジュラー型による効率化を進めつつ、高級車や走行性能重視領域でインテグラル型を堅持する。両社の比較から、アーキテクチャ選択は「顧客価値の源泉」と「市場変化スピード」の二軸で最適化すべきとの戦略的示唆が得られる。結論として、変化の激しい市場ではインテグラル型とモジュラー型を組み合わせるハイブリッド戦略が有効であり、ブランド戦略と一体で意思決定する重要性が強調される。 |
キーワード : 製品アーキテクチャ モジュラー型 インテグラル型 ブランドポジショニング |
ページ数 : 表紙1 + 本文10 |
ファイルサイズ : 1245KB |
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