ポスターセッションの報告要旨の |
日本マーケティング学会 カンファレンス・プロシーディングス Vol.12 |
尾州産地の形成要因と持続・発展要因の考察 |
佐藤 亘 青山学院大学大学院国際マネジメント研究科 |
発行 : 2023年11月20日 |
分類:U24ポスターセッション |
報告要旨 : 愛知県一宮市を中心とした尾州地域は,イギリスのハダースフィールド,イタリアのビエラと並ぶ,世界三大毛織物産地である。本研究は,この繊維産地の形成要因を先行文献で確認するとともに,日本で唯一の毛織産地として持続・発展する要因を,現地工場視察と企業インタビューにより調査し,そこから価値の創造・伝達・提供の観点から考察し明らかにする。 現地調査の結果,①形成要因は,生産に適した自然環境(木曽川の豊かでしなやかな風合いを生み出す軟水など),原料輸入・製品輸出のための名古屋港に近い立地要因があげられる。②持続・発展要因は,アパレル製造卸などが集積する岐阜・名古屋に隣接し,東京と大阪の中間という物流・商流に有利な立地環境などがあげられる。さらに高い技術性・独自性が欧米からも評価され高質なブランドを形成し,競争が進む中,勝ち残り企業が廃業企業の機器や技術などの経営資産を継承し一層強みを増す好循環となった。 今後,尾州産地が持つ,大都市近接立地(企業需要・企画機会の獲得)や市場成長するアジアで唯一の産地といった強みが,一層の発展要因となるのではないかと考察される。 |
キーワード : 繊維産地 価値創造と伝達・提供 残存者利益 |
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