ポスターセッションの報告要旨の |
日本マーケティング学会 カンファレンス・プロシーディングス Vol.10 |
山形:寒河江のニット企業の独自性の考察 |
佐藤繊維・米冨繊維の事例研究 |
松尾 博人 青山学院大学大学院国際マネジメント研究科 |
発行 : 2021年10月29日 |
分類:一般報告 |
報告要旨 : 山形県寒河江市はニット産地として長い歴史を持つが,市場環境変化を受け多くのニット企業が経営不振となり廃業した中で,佐藤繊維と米冨繊維は生き残り,海外取引も含め堅調な動きを見せている。 本研究では,この2社に着目し、価値創造(製品)・伝達(コミュニケーション)・提供(チャネル)の観点から,①地域内他社との比較から2社の独自性,②2社対比から各社の独自性を分析した。さらに各社の独自性が生まれた要因を,両社社長インタビューならびに,製造工程及び営業展開の現地調査を踏まえ考察した。 その結果,多くの寒河江地域企業が流行やアパレル企業・商社の動きに沿って製造体制を変化させ失敗したが,2社は得意領域・技術を堅持し,さらに独自のファクトリーブランドを創造し営業を拡大したことが明らかになった。また2社比較では,佐藤繊維は紡績技術・デザイン力からの価値創造と寒河江での地場産品を含めた店舗展開,米冨繊維は縫製技術からの若者向けニットブランド開発と東京などのセレクトショップでの販売という差異があった。そして各社の独自性要因は,現社長の事業継承時の社内環境や,社長個人のキャリアの差異が背景として考察された。 |
キーワード : 繊維地域産業 価値創造 企業の独自性 |
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