ポスターセッションの報告要旨の |
日本マーケティング学会 カンファレンス・プロシーディングス Vol.5 |
範囲の経済の仕組みと構築 |
市場黎明期の花王の事例 |
平松 秀樹 |
発行 : 2016年10月12日 |
分類:一般報告 |
報告要旨 : 本研究の目的は,花王の小児用紙おむつ市場と生理用紙ナプキン市場の間における範囲の経済 の構築の仕組みを分析することにより,範囲の経済とその戦略的な構築についてのインプリケーションを導出することである。先行研究において,範囲の経済を有効に機能させるためのメカニズムについて十分に説明しているものはない。そのため,企業が実務的に範囲の経済を考える際に用いることのできるフレームワークは,存在していないのが現状である。 花王は1983年に,当時成長市場であった小児用紙おむつ市場に参入した。それに先立ち,同社は生理用紙ナプキン市場に参入していた。紙ナプキン市場は,花王が参入した1978年に既に成熟市場となっており,激しい競争が行なわれていたところである。この紙ナプキン市場単体で考えれば,花王の行動の合理性を理解することは難しいが,当時成長市場であった紙おむつ市場との範囲の経済を考えると,その合理性を理解することができる。この花王の事例は,範囲の経済が明白に存在していることに加え,その構築過程が観察可能であることから,範囲の経済の仕組みと構築におけるフレームワークを導出するのに最適な事例だと考えられる。 |
キーワード : 2つの範囲の経済 ユーザー価値 商品多角化の鍵 高吸水性樹脂 夜の睡眠の質の向上 |
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