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日本マーケティング学会 カンファレンス・プロシーディングス Vol.13 |
情報の非対称性が高いサービスにおける機能的品質の支援的役割 |
医療機関の患者満足度調査データを用いた実証研究 |
川上 和真 同志社大学大学院商学研究科博士後期課程 |
発行: |
分類:博士単独報告 |
掲載形態:要約 |
要約 : 近年,医療マーケティングが注目されている。医療は情報の非対称性が高いサービスであり,医療提供者が想定する品質と患者が知覚できる品質には乖離がある。本研究は医療サービスの文脈において,知覚品質における技術的品質と機能的品質の側面に着目し,患者視点のアウトカム指標である患者満足や推奨意図(以下,患者アウトカム)を形成する因果構造を明らかにするため,医療機関の患者満足度調査データを用いて共分散構造分析を行なった。分析の結果,入院及び外来における患者アウトカムの因果構造には相違があり,入院では技術的品質と機能的品質の多様な要素が患者アウトカムに影響するが,外来では機能的品質が患者アウトカムに影響するものの,技術的品質の影響は確認できなかった。医療サービスの患者アウトカム形成には,診療内容(技術的品質)だけでなく,医療スタッフやサービス環境との相互作用により知覚した機能的品質が多分に影響する。情報の非対称性が高い医療サービスにおいて,機能的品質には患者アウトカムの形成をサポート,促進する「支援的役割」があり,医療提供者が機能的品質を蔑ろにしてしまうと,患者アウトカムの形成を妨げる可能性がある。 |
キーワード : 知覚品質 サービス品質 患者志向 医療経営 サービス・マーケティング |
ページ : p. |
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