ポスターセッションの報告要旨の |
日本マーケティング学会 カンファレンス・プロシーディングス Vol.9 |
超然消費 ― 貧困時代の幸福に潜む消費価値観 |
木野 将人 株式会社東急エージェンシー |
田村 知子 同上 |
高橋 望 株式会社クロス・マーケティング |
水師 裕 武蔵野美術大学 |
発行 : 2020年12月16日 |
分類:一般報告 |
報告要旨 : 拡大を続ける我が国の”相対的貧困”の問題は現下、福祉行政の観点を中心とした議論に留まっている。一方、ビジネスの観点からは、増加を続ける「相対的貧困層」を改めて”消費者”として捉えなおした議論こそ重要であろう。 この観点に立った上で、我々は「相対的貧困層に対し、消費を通じた幸福をいかに提供しうるか」を主要な問題認識として研究を進める。 橋本(2018)によれば、相対的貧困層においては”男性”よりも”女性”において生活満足度が高く、消費行動、特に余暇活動なども活発であるという。我々は、以上に着目し、相対的貧困女性における「生活満足度」と「余暇活動」の関係を明らかにするべく、時系列調査データを用いた検証、及び、オンラインインタビュー調査を行った。 その結果、相対的貧困女性における生活満足度は、「経済的競争」の価値観から逸脱した、特有の「脱経済的で超然とした価値観」と結びついている点。また、こうした脱経済的な自己を拡張(Belk 1988)させるべく「美術、芸術鑑賞」といった経験財を好んで消費する傾向がある点が分かった。 我々は、この価値観による一連の消費を「超然消費」と名付けている。 |
キーワード : 相対的貧困 アンダークラス アイデンテティと消費 ラッセル・ベルク |
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